まっかないちごの脳内

どこにでもいそうなひとりの女子大生の日記。人生。

童心

童心とは

先日、美容院に行った。大人になるための準備をしに。

私は今年成人式があり(開催されるか分からないが)社会から大人だと認められるような年齢になる。私たちの代が最後の20歳成人だ。ひとり暮らし大学生にとって何かと不便だった「未成年」から開放される。どこに行くにも必要だった同意書が不要になる。なんとも晴れやかな気分だ。

しかし同時に社会的責任が課される。同意書が要らない代わりに、自己責任になる。ああ嫌だな。そんな責任という言葉に重く憂鬱な気分になりながら、美容院で順番が来るまでぼんやりと窓の外を眺めた。そこからは隣の理容院がみえた。

理容院にある青赤白の円筒の看板、(サインポールというらしい)あれがくるくると回っている。そしてそれを見ながらふと、サインポールが回っていると認識した自分に気づいた。どうやら物事の原理がわかるようになり大人になったらしい。

かつて子どもだった頃、赤や青がどうして上に行き、どうして下から出てくるのか不思議に思ったものだ。まったく仕組みがわからず延々とただ青や赤が下から上に行くのを眺めていた。

それが今では「あ、回っている」これで終わりである。大人になることはなんとも寂しく、しゃぼん玉のようなわくわくが知らないうちにひとつ消えていたのだ。

そのあと私がとった行動はひとつ。目と脳をあえて錯覚させ、無理矢理にでも回って見えるサインポールを上へ昇っているようにして「見た」。童心を取り戻したいという一心で。そうすると原理が分かっているとはいえ、なかなか面白く見とれてしまった。どうやら私にもまだほんの少しの童心が残っているらしい。

成人こそするが、心の中にひとつの童心を残した大人でいたい。子育てをするならなおさら。そう思った。